岡山市中区 内科|岡山市中区円山、内科、呼吸器科、消化器科、外科
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 ■ 高齢者の糖尿病治療                  


高齢者の糖尿病



 ❑  平成30年国民健康・栄養調査によると、70歳異常の男性の約25%、女性の約16%
   が糖尿病であるとされています。
 

 ❑ 加齢に伴うインスリン分泌の低下、体脂肪量の増加、筋肉量の低下、活動量の低下
   などが、
発症・増悪因子とされています。
 
 ❑ 75歳以上のかたや、機能低下がある65歳以上のかたは、注意が必要です。



高齢者糖尿病の特徴



 ❑ 低血糖や食後高血糖をおこしやすい反面、その症状
   (発汗、動悸、震え等)が出現しにくい。

 ❑ 脳卒中、心不全、腎症をきたしやすい。

 ❑ 老年症候群(認知症、フレイル、サルコペニア、
   ADL低下、転倒、うつ)の合併頻度が高い。


 ❑ 多種類の薬を内服、飲み忘れ・飲み間違えなどにより、薬の有害事がおこりや
   すい
本人・家族・介護者の協力が必要)



 ■ 高齢者糖尿病の治療目標                


 ❑ 高齢者の糖尿病治療は、全体的な状況(認知機能、
   身体機能、併存疾患、低血糖のリスク、推定される
   余命)を把握し、総合的判断することが重要です。

 ❑ 高齢者糖尿病の血糖コントロール目標を用い、治療
   目標を設定します。




日常生活動作の評価



 ❑ 日常生活を送るために必要な能力を評価します。

 ❑ 「基本的ADL」「手段的ADL」など評価します。

 ❑ 「基本的ADL」:車椅子からベットへの移乗、歩行
   階段昇降、食事、トイレ動作、着替え、整容、入浴


 ❑ 「手段的ADL」:電話、買い物、料理、家事、洗濯
   交通機関を使っての外出、薬の管理、金銭管理


 ❑ DASC-8DASC-21などをもちいて評価します。




フレイルの評価


フレイルとは
 ❑ 「フレイル」とは、筋力・活力が衰えて、からだの予
   備能力が低下要介護にいたる前段階の状態です。糖
   尿病の管理では、十分なエネルギーとたんぱく質を
   摂取するようにします。

 ❑ J-CHS(Japanese version of Cardiovascular
    Health Study)の診断基基準
」や「簡易フレイル・
   インデックス」などを用いて評価します。




サルコペニアの評価



 ❑ 「サルコペニア」とは、筋肉質・量、身体機能の
   低下した状態です。歩行速度がおそくなり、歩行
   補助具(杖や押し車など)が必要になります。体重
   減少や筋力下により、糖尿病では1.4~4倍で転倒
   しやすいといわれています。人が日常生活を送る
   ために必要菜能力を評価します。

 ➢ * AWGS2019サルコペニア診断基準 

 


認知症の評価



 ❑ 糖尿病では、約1.5~2.5倍認知症になる可能性が
   高いといわれています。注意力や記憶力などの低下
   のため、治療の調整や家族のサポート、地域の支援
   が必要です。

 ❑ 
DASC-8 DASC-21(地域包括ケアシステムにおけ
   る認知症アセスメントシート)で評価します。




心理状態の評価


腰痛と心理社会的因子
 ❑ 高齢者は、うつやQOLの低下をきたしやすく、
   GDS-15等で評価します。


 ・ 5点以上:うつ傾向

 ・ 10点以上:うつ状態




栄養状態の評価



 ❑ 血液検査やGLIMの基準を用いて、低栄養等を評
   価します。






 ■ 高齢者糖尿病の治療目標                

◇ 
カテゴリーをⅠ、Ⅱ、Ⅲと分類し、治療目標を設定します

 

 ➢ 認知機能、ADLの程度、機能障害、栄養状態、低血糖リスク、サポート体性
   を考慮し決定します。




 ■ 一日エネルギー摂取量                 

目標体重



 ❑
目標体重の目安

 ➢ 65歳未満           [身長(m)]2×22

 ➢ 6574          [身長(m)]2×25

 ➢ 75歳以上           [身長(m)]2×25(現状をふまえ適宜評価)




エネルギー係数



 ❑ 
身体活動レベルとエネルギー係数(/)

 ➢ 軽い労作(大部分が座位の静的活動)
       25~30 ㎉/㎏(目標体重)

 ➢ 普通の労作(座位中心だが通勤・家事、軽い運動習慣)

       30~35 ㎉/㎏(目標体重)

 ➢ 重い労作(力仕事・活発な運動習慣)

       35~   ㎉/㎏(目標体重)




一日エネルギー摂取量



 
記の「目標体重」と「エネルギー係数」を用いて、「1日のエネルギー摂取量」
を設定します。

 
  

  1日のエネルギー摂取量(/) = 目標体重() × エネルギー係数(/) 




 ■ 食事療法の注意点                   

 ❑ 
栄養状態を、MNA-SF簡易栄養状態評価表などで評
   価します。


 ❑ 適正なエネルギー量、バランスの取れた食事が重
   要です


 ❑ 高齢者では低栄養に注意します。


 ❑ エネルギー比率は、・炭水化物(5060%) ・蛋白質(20%)
   ・脂質(2030%)です。全体のバランスが大切です。

 ❑ 腎不全がなければ、筋力保持目的で十分なたんぱく質をとります。

 ❑ 血糖、脂質コントロールの観点から、緑黄色野菜の摂取が勧められます。




■ 運動療法の注意点                    

 定期的運動(身体活動や歩行)は、代謝異常の是正・生命予後・ADL維持
  ・フレイル予防・認知機能低下の抑制
や体力維持や気分転換に有効です。



 ◇有酸素運動


NASHと新し治療

 ❑ 運動強度は、「楽である」程度のウォーキングによ
   り血糖値は改善します。

 ❑ 1週間の合計150分程度 (160×23日)。

 ❑ 運動しない日を2日以上続けない。

 ❑ 日常生活活動量を増やす(掃除・洗濯・料理・買い物・孫の世話)

 ❑ 食後一時間後が望ましい。




 ◇レジスタンス運動



 ❑
 腹筋、ダンベル、腕立て伏せ、スクワットなど、ス
   クワット、つま先上げ、踵上げ、膝伸ばし、など。


 ❑ 連続しない日程で、1週間の23回程度 (1
   60
分程度)。

 ❑ 運動しない日が2日以上続かないようにします。

 ❑ 腰痛や膝痛がある場合は、水中歩行・椅子に座ってする運動でよい。

 ❑ 有酸素運動と併用すると、より効果的です。




バランス運動



 ❑ バランス運動:生活機能の維持・向上や転倒予防に
   有用。

 ❑ 片足立位保持、ステップ練習、体幹バランス運動等



 ストレッチ


腰痛とヨガ
 ❑
 柔軟性を改善します。

 ❑ 大腿四頭筋伸ばし、アキレス腱伸ばし、各関節や筋
   肉伸ば、推奨されます。

 ❑
 歩行+レジスタンス運動+バランス運動により、転
   倒予防に効果があります。



 運動困難な場合



 ❑ レジスタンス運動や低負荷運動のみでも、筋力増
   加、移動能力向上、身体機能改善が期待できます。


 ❑ 洗濯、掃除、料理、買い物、イヌの散歩、子供の世
   話など日常生活行動を増やすことも効果あります。




 運動制限・禁止



 ❑ 運動療法を禁止あるいは制限した方がよい場合
   (運動する前にメディカルチェック)


  ➢ 空腹時血糖値250/㎗以上、尿中ケトン体中等
    度以上陽性)


  ➢ 虚血性心疾患や心肺機能に障害のある場合

  ➢ 骨・関節疾患がある場合

  ➢ 急性感染症のある場合

  ➢ 次の糖尿病性合併症がある場合
    ・腎不全

    ・糖尿病壊疽
    ・自律神経障害(高度)
    ・増殖前網膜症




■ 薬物治療の工夫                     

 ❑ 服薬時間・種類・回数を統一します(服薬数・回数の単純化)。

 ❑ 配合薬・口腔内崩壊錠や貼付剤など剤形を工夫します(合理化)。

 ❑ 出勤前や帰宅後など、介護者が管理しやすい服用法に変更(服薬サポート)。

 ❑ 一包化調剤や服薬カレンダーを利用します。

 ❑ 自己注射の減量、離脱をはかります(簡易化)。

 ❑ 低血糖の少ない薬剤への変更(少量メトホルミン+DPP-4阻害薬など)




■ 薬物治療の実際について                 

 ビグアナイド系(インスリン分泌非促進薬)




・メトホルミン塩酸塩(グリコラン®、メトグルコ®


 ❑ 特徴    

  ➢ 肝臓での糖産生を抑制します。

  ➢ 末梢組織(筋肉を中心)でのインスリン感受性を促進します。

  ➢ 消化管からの糖吸収を抑制します。

  ➢ 心血管死亡のリスクを減少させる可能性があります。

  ➢ 単剤では低血糖をおこしにくい。

  ➢ 体重増加しにくい。

 

 ❑ 注意点

  ➢ 腎機能低下例では投与量に注意が必要。
  ➢ 75歳以上は慎重投与。

  ➢ 最高投与量:・45≦eGRR60の場合:2250
          ・30≦eGRR45の場合:750

  ➢ 乳酸アシドーシスに注意が必要。

  ➢ 少量から開始することにより,胃腸障害を避けることができる。

  ➢ 長期使用でビタミンB12が不足する場合があり。

   カテゴリー患者は、体重減少や消化器症状に注意する。




 チアゾリジン薬(インスリン分泌非促進薬)


 

・ピオグリタゾン(アクトス®


 ❑ 特徴  

  ➢ 末梢組織でインスリン抵抗性を改善します。

  ➢ 肝臓からのブトウ糖放出を抑制します。

  ➢ 単剤では低血糖の可能性低い。

 

 ❑ 注意点

  ➢ 体液貯留作用あり、心不全(既往含む)では禁忌。

  ➢ 高齢女性では骨折頻度が上昇する可能性。骨粗鬆症のリスク上昇の可能性。




 
αグルコシダーゼ(インスリン分泌非促進薬)


 

・アカルボース(グルコバイ®
・ボグリボース(ベイスン®
・ミグリトール(セイブル®
  


 ❑ 特徴 
  ➢ 腸管での糖の吸収を遅らせます。

  ➢ 効果は弱いが、他の経口血糖降下剤との併用に優れています。

  ➢ 体重増加がしにくい。

 

 ❑ 注意点

  ➢ 食直前の服用が煩雑。

  ➢ 腹部膨満感、放屁の増加、下痢が時々みられ、腹部手術後の方は注意を要す。

  ➢ まれに肝機能障害がみられる。




 SGLT2阻害薬(インスリン分泌非促進薬)



 

・イプラグリフロジン(スーグラ®
・ダバグリフロジン(フォシーガ®
・リセオグリフロジン(ルセフィ®
・トホグリフロジン(アプルウェイ® 
・カナグリフロジン(カナグル® 
・エンパグリフロジン(ジャディアンス® 
  


 ❑
 特徴

  ➢ 尿から糖排泄を促進します。

  ➢ 血糖低下と体重減少効果があります。

  ➢ 腎機能低下例(eGFR 30ml//1.73m2未満)は効果弱く使用しません。

  ➢ 低血糖の可能性は低い。

 ❑ 注意点

  ➢ 老年症候群(サルコペニア、認知機能低下、ADL低下など)の場合は慎重投与。

  ➢ 75歳以上あるいは利尿剤併用中の場合は、脱水に注意。




 DPP-4阻害薬(血糖依存性インスリン分泌促進薬)



・シタグリプチンリン酸塩(グラクティブ®、ジャヌビア®
・ビルダグリプチン(エクア®
・アログリプチン安息香酸(ネシーナ®
・リナグリプチン(トラゼンタ®
・テネリグリプチン(テネリア®
・アナグリプチン(スイニー®
・オキサグリプチン(オングリザ®
・トレラグリプチン(ザファテック®
・オマリグリプチン(マリゼブ®
  


 ❑
特徴  

  ➢ DPP-4選択的阻害により、GLP-1濃度を高めます。

  ➢ 体重増加が起こりにくい。

  ➢ 低血糖の可能性は低い。

 

 ❑ 注意点

  ➢ SU剤、インスリンとの併用で、低血糖を起こす可能性あり。

  ➢ 急性膵炎や水疱性類天疱瘡などの発症に注意が必要です。




 GLP1受容体作動薬(血糖依存性インスリン分泌促進薬)



・リラグルチド(ビックトーザ®)注射
・エキセナチド(バイエッタ®)注射
・リキシセナチド(リキスミア®)注射
・リキシセナチド(ビデュリオン®)注射
・デュラクルチド(トルリシティ®)注射
・セマクルチド(リベルサス®)内服


 ❑
特徴

  ➢ 低血糖の可能性は低い。

  ➢ SU剤、インスリンとの併用で、低血糖を起こす可能性があります。

  ➢ リキシセナチド(リキスミア®)・徐放型エキセナチド(ビデュリオン®)
    ・デュラクルチド(トルリシティR)はインスリンと併用可能です。

  ➢ 少量から開始することにより,胃腸障害(食欲低下・嘔気・嘔吐)を回避。

 *)リベルサスR (経口GLP-1)  経口のセマグルチド  

  GLP-1受容体作動薬の経口薬ですが、服用に注意点があります。

  ・ 服薬方法やタイミングが複雑です。

  ・ 空腹時(朝起床時)に必ず服用します。

  ・ 服用時は、コップ半分(約120ml以下)の水で服用します。

  ・ 服用後30分は、飲食や他剤内服は不可です。

  ・ メトホルミン、SGLT2阻害薬、チアゾリジンは併用可能(減量不要)です。

  ・ SU剤との併用時は、低血糖に注意です。

  ・ 内服を忘れた場合は、翌日内服します。




 SU薬(血糖依存性インスリン分泌促進薬)



・グリベンクラミド(ダオニール®、オイグルコン®
・グリクラジド(グリミクロン®
・グリメピリド(アマリール®
  



 ❑
特徴  

  ➢ インスリン分泌を促進し、血糖値降下します。

  ➢ 微小血管症抑制のエビデンスがあります。

  ➢ 高度の肥満例(インスリン抵抗性の強い)にはよい適応でありません。

 
 注意点

  ➢ 高齢者では低血糖の危険性が高いため、少量からの投与開始が勧められます。

  ➢ 腎機能・肝機能が低下している場合は、減量や中止が必要です。

  ➢ 重症腎機能障害(eGFR=30ml//1.73m2未満)は禁忌です。

  ➢ 食事量が1/3以下の時は中止します。

  ➢ 併用薬により低血糖をおこす可能性があります。

 (DPP-4阻害薬、GLP-1受容体作動薬、抗不整脈薬、ミューキノロン系抗菌薬など)



 グリニド薬(血糖非依存性インスリン分泌促進薬)



・テグリニド(ファスティック®、スターシス®
・ミチグリニドカルシウム(グルファスト®
・レパグリニド(シュアポスト®
  


 ❑ 特徴

  ➢ インスリン分泌を促進し、服用後短時間で血糖値を降下します。

  ➢ 短時間で作用が消失します。

 ❑ 注意点

  ➢ 毎食直前の服用が必要で(510分程度前)。




 合剤について



チアゾリジン+メトホルミン メタクト配合錠LD®HD®

ソニアス配合錠LD®、HD®

グリニド+αグルコシダーゼ グルベス配合錠®
DPP-4阻害薬+チアゾリジン リオベル配合錠LD®HD®
DPP-4阻害薬+メトホルミン

エクメット配合錠LD®、HD®

イニシンク配合錠®

メトアナ配合錠LD®HD®

DPP-4阻害薬+SGLT2阻害薬 カナリア配合錠®

スージャヌ配合錠®

トラディアンス配合錠AP®BP®


 

 


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